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2016/02/13

インフルエンザとの負け戦を経た父は一回り小さくなって帰ってくる。

数ヶ月前に受けた予防接種も虚しく、インフルエンザに感染してしまった。
水曜日の日中に、急な悪寒と咳に襲われたのが事の起こりだ。以前会社の備品を物色…探していたときに発見したマスクを急いで身につけ、その日は定時で早々に退社。明けて木曜日は祝日であったため、葛根湯とオレンジジュースを投入して様子を見ていた。すると夕方にかけて熱は39.4℃まで上昇し、通常の風邪で考えられる体温のHOT LIMITを突破。これはインフルの予感がしま鮮花と僕の中のタカノリ的にも警報が発令されたので、翌日は会社を休んで病院へ。
近くの内科医でインフルエンザの検査を受ける。検査は、鼻のかなり奥の方まで棒を突っ込まれて攪拌されるという苦痛に満ちた手法で行われる。
医師から「右左どっちの穴がいいですか?」と聞かれたけれど、これまでの人生で棒を突っ込まれる鼻腔を選択するという局面に遭遇したことのなかった僕は、戸惑いながら「どちらでも良いです。」と答えるしかなかった。
結果棒は左の鼻腔に挿入され、奥のほうにある粘膜をぐりぐりと採取された。涙と咳とくしゃみをこらえるその時間はおよそ十数秒間にも渡り、医師は「しっかりやらないといけませんからね。」と言っていたものの、後半は半ば趣味だったのではないかと今でも疑っている。
検査結果が出るまで数分かかるため、問診に入る。今朝時点で37℃以上の熱があったことを伝えると、「インフルエンザでしょうね。」とあっさりと診断を下した。さっきの苦痛に満ちた検査は何だったのだろうか。
果たせるかな検査結果も見事陽性で、僕は立派なインフルエンザ患者として帰宅した。

抗インフルエンザ薬を服用し終えた僕にできることは、この負け戦の被害を家族に広めないことだけだ。
僕は寝室から布団を引き上げて部屋にこもり、子どもが寝たあとで、リビングで食事を取る。
子どものお世話、食事やお風呂やおむつ替えやその他諸々はすべて奥さんにお願いすることになってしまう。

これでは奥さんがとても大変だし、急に父親に会えなくなった子どもの辛さを思うと胸が痛む。
こうしている間にも父親を求める子どもの泣き声が……一切聞こえない。求めるのは食事を求める声だけで、それ以外はお母さんと過ごす時間を満喫しているようだ。

「こんなはずは……」と思い、トイレや水分補給のついでに少し顔を出すと、子どもが満面の笑みで駆け寄って……来るわけでもなく、僕を指差してお母さんに「アァ!」と見慣れないものを発見したことを伝えていた。
このしぐさに何か見覚えがあるなぁと思っていたら、先日行った上野動物園でチンパンジーを見たときと同じだった。
その事実に気づいた僕がティッシュで顔からぬぐったのは、鼻水だけではあるまい。