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2017/12/22

妻が盗撮の被害者になったときにしたことの記録。

 駅で妻が盗撮の被害にあった。この問題に対処するにあたって、「盗撮 被害者」などで検索してみたものの、自分が望む情報はほとんど無かった。なので、自分が体験したことを書き記しておくと、多少有益かもしれないと考えて筆を取っている。

 妻から盗撮の被害の知らせを受けた翌日、朝9時に二人で現場近くの警察署に行った。(警察署には管轄があるので、事前に調べておこう。自宅近くの警察署に行っても仕方がない。)
 受付で事柄を伝えると、しばらくして生活安全課の担当者が現れて部屋に通された。この時点で、担当者はあまり乗り気では無いように見えた。現行犯でもない限り、犯人を捕まえられる可能性はかなり低いからのようだ。また、現在痴漢の事情聴取を行っている最中で、時間が取れないという。痴漢と盗撮が日々列をなしている光景を思い浮かべてとても残念な気持ちになった。

 担当からは午後にするか、また日を改めて欲しいと言われたので、また午後に来ることにした。警察に来たのは、もちろん犯人が捕まってくれればという思いもあるけれど、泣き寝入りせずに何かしら行動を起こすことで、気持ちに区切りがつくようにという思いもあった。このことから、警察との折衝で何日間も費やしたくなかったからだ。

 再び警察署を訪れると、朝とは別の部屋に通されて、先程の担当ともう一人若手の担当が二人で応対してくれた。妻が事柄を一部始終を話し、僕は必要に応じて補足した。(当事者でない人間のほうが、系統立てて説明しやすいこともある。)
 一通り説明し終えると、今度は現場の駅に行って、状況を詳しく話すことになった。写真も撮影するということで、周りの目が気にならないようにとマスクを渡してくれた。
 妻と担当の一人が当時の状況を再現して位置に立ち、写真を撮りながら、合わせて防犯カメラの位置を確認していた。普段は意識することは無かったけれど、駅構内には思った以上に多くのカメラが設置されていた。

 20分ほどで聴取は終了して、僕と妻は帰路についた。まっすぐ帰る気分ではなかったので、途中駅のピザ屋で食事をしていると、妻の元に担当から連絡があった。妻が使った改札の位置などを細かに尋ねていて、どうやらもう防犯カメラの映像を確認しているようで、望外の早い展開に、これは期待できるのかもしれないと胸を膨らませた。
 ちなみにこのときは被害届を提出していない。担当いわく、聴取を取るとなると半日がかりになるため、犯人が捕まる目処が立つようなら改めて調書を取るということだった。その際には、今日撮影した写真もあるので、時間が短縮できるという。
 これが心からの配慮なのか、検挙率を下げないための方便なのかは今持ってわからないけれど、結果として動いてもらえたので良かったと思っている。


 当日の急展開以降、音沙汰はぱったりと途絶えていた。僕から妻に連絡するよう促すのも妙な話だし、妻がそれで良いならこのままフェードアウトしても良いかなと思っていた。
 まもなく一ヵ月が経とうという頃、妻が連絡をしてみるというので、電話をかける横にいたけれど、繋がらなかった。しかしその後妻一人になってから折り返しの連絡があり、容疑者が特定できていて、犯行を認めているという。
 まもなく容疑者の聴取があるので、それが終わってから調書を取るために連絡するつもりだったそうだ。


 妻の調書も取り終わり(僕も一緒に行ったけれど、事情聴取とは違い部屋の外で待っているだけだった)、容疑者が書類送検されると、検事から妻の元に連絡が入った。先方が示談を希望しているので、応じるなら担当の弁護士に連絡をして欲しいという内容だ。
 妻と相談し、裁判で長く引っ張られるのも不本意なので、いったんは話を聞くことにした。僕から弁護士事務所に連絡し、職場近くで妻と僕と弁護士の三者で面会することになった。弁護士からは、被疑者も同席させて直接謝罪もという話もあったけれど、それは断った。

 当日、弁護士からは容疑者直筆の謝罪の手紙を渡され(一読して返却)、示談金として3万円の提示があった。
 元々、金額の多寡を争うつもりはなかったけれど、あまりに少額だったので唖然としてしまった。謝罪の気持ちというよりも、内々で処理できる金額を提示しただけで、たまたま財布に入っていたお金を渡して、「これで見逃して欲しい」と行っているようなものだなと感じた。(僕の財布に3万円も入っていることはまずないけれど)

 何にせよその場で返事はせずに、持ち帰ることにした。(コーヒー代を出してもらえるかなと思ったけれど、自腹だった)
 結果、こちらから提示した示談金は「50万円」とした。かなり高額であると思っていたけれど、意図としては、誰かに相談しなければ工面できない金額にしたいと思ったからだ。(周りの目があることが再犯防止に繋がると考えた)
 その他に、再犯防止のため精神科のカウンセリングを受診することなど、細かな条件をつけているけれどそれは割愛する。
 弁護士からは高すぎるので譲歩を求められたけれど、そもそもこちらには積極的に示談に応じる理由がないため断った。

 結果、先方は示談に応じ、弁護士から現金で示談金を受け取り、示談書に妻が署名・捺印をした。
 その後、検事から妻の元に連絡があり、示談成立の事実を確認して、一連の対応は終わった。(その後、容疑者の起訴・不起訴については知らない。検事に問合せをすれば教えてもらえるそうだけれど、そうしなかった)


 被害の当事者でもない僕が教訓めいたことを言う立場にはないけれど、現行犯でなくても警察は動いてくれるし、犯人が捕まることもある。示談の条件は改善することができる。
 何かしらの被害に遭ったときに、あきらめて泣き寝入りするのではなく、周りの協力を得て行動を起こすという選択肢も悪くないと思う。