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2014/06/07

紳士の牛乳かん

 僕の母はケーキなどの焼き菓子をよく手作りしてくれた。それは僕らのためだったのか、それとも母自身の楽しみだったのかは、判然としない。
 と言うのも、僕はリンゴが嫌いなのだが、母は特に気にすることもなくアップルパイを作っては、僕らに振る舞ってくれていたからだ。
 おかげで僕は「好き嫌い」と「食べられるか否か」を切り離して考えることができるようになった。

 母が作る夏のデザートといえば、「牛乳かん」だ。
 手間と時間をかけて色々なものを作ってくれた母にしたら不本意かもしれない。
 でも、これもまた母の味だ。

 その味を受け継いで作るのもまた、紳士としてのたしなみだろう。

【紳士の牛乳かん】


粉寒天 1袋
牛乳 500ml
砂糖 大さじ3
洋酒 大さじ1

1.収納の奥深くから、賞味期限の過ぎた粉寒天を見つける。
2.鍋に牛乳と砂糖、覚悟を決めて粉寒天を入れる。
3.鍋を火にかけ、混ぜながら沸騰させる。
4.途中で冷蔵庫に洋酒が余っていることを思い出し、加える。
5.沸騰したら吹きこぼれないよう注意しつつ、沸き立つ様子を2分ほど眺める。
6.飽きてきたら容器に移し、粗熱をとって冷蔵庫で冷やしたらできあがり。

 賞味期限が切れてからの期間に応じて、沸騰させる時間を長くすると気休めに効果的です。