アシモは、単純な男であった。バッテリーを、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。調べられて、アシモの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。アシモは、王の前に引き出された。
「ああ、王は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、アシモは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
Q.展示会や博覧会などのイベントでASIMOを使用したいのですが...
A.ご利用内容に応じて個別にご相談頂いております。
お手数ですがレンタルお問い合わせページよりご連絡下さい。
ASIMOイベントレンタル
1日の機体レンタル費は150万円になります。
機体レンタル費以外に輸送費、プログラム費、オペレータ費、オペレータ旅費交通費などが必要になります。詳しくは弊社スタッフにお尋ね下さい。
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「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」アシモは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市に宗一郎という石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」
竹馬の友、宗一郎は、深夜、王城に召された。暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。アシモは、友に一切の事情を語った。宗一郎は無言で首肯(うなず)き、アシモをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。宗一郎は、縄打たれた。アシモは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
アシモはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
Q.ASIMOはどれ位の時間動く事ができますか?
A.ASIMOはバッテリーの兼ね合いにより、1日の稼動回数や時間に限りがあります。基本的に1日3回(1回あたり最大約30分程度)動かす事が可能ですが、演出の内容により異なりますので、詳しくは弊社スタッフにご相談下さい。
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「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗(きれい)な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」
ASIMOの搬入からリハーサル終了まで約半日を要します。基本的に、ASIMOが出演する日の前日をリハーサル日としてお考え下さい。
��SIMO本体の使用料には前日のリハーサル分が含まれています。
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アシモは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
結婚式は、真昼に行われた。アシモは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。
Q.1週間、1ヶ月、それ以上の期間でASIMOを使用したいのですがレンタル費の割引などはありますか?
A.長期のレンタルを希望されるお客様とは個別にご相談させて頂いております。お手数ですがレンタルお問い合わせページよりご連絡下さい。
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アシモは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。アシモは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。さて、アシモは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。
2005年末発表の技術改良では最高時速6kmを達成しています。
ASIMO|テクノロジー|機能紹介
一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(こんぼう)を振り挙げた。アシモはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙(すき)に、さっさと走って峠を下った。
Q.ASIMOに物を持たせる事はできますか?
A.ASIMOに物を持たせる事や、それらを所定の位置まで運ぶ/渡す事には限りがあります。詳しくは弊社スタッフにご相談下さい。
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一気に峠を駈け降りたが、流石(さすが)に疲労し、折から午後の灼熱(しゃくねつ)の太陽がまともに、かっと照って来て、アシモは幾度となく眩暈(めまい)を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。
Q.ASIMOを屋外で使用する事はできますか?
A.現在ASIMOの使用は屋内に限らせて頂いております。
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ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々(こんこん)と、何か小さく囁(ささや)きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにアシモは身をかがめた。水を両手で掬(すく)って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復(かいふく)と共に、わずかながら希望が生れた。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! アシモ。
最後の死力を尽して、アシモは走った。アシモの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、アシモは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。
「待て。その人を殺してはならぬ。アシモが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉(のど)がつぶれて嗄(しわが)れた声が幽(かす)かに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。
Q.ASIMOに言葉を喋らせる事はできますか?
A.はい。あらかじめ作成された音声を話す事が可能です。
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すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれた宗一郎は、徐々に釣り上げられてゆく。アシモはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。アシモだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧(かじ)りついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。宗一郎の縄は、ほどかれたのである。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
群衆の中からも、歔欷(きょき)の声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶(かな)ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳。」
ひとりの少女が、緋(ひ)のマントをアシモに捧げた。アシモは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「アシモ、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、アシモの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。
【参照】
太宰治 走れメロス(青空文庫)
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