このブログを検索

ラベル クロアチア旅行 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル クロアチア旅行 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2009/03/11

クロアチア旅行記|四日目。スプリット。宮殿スチューデント。

2009年2月17日
 ドゥブロヴニクの街は存分に歩き回ったので、そろそろ日本に帰ろうかと思ったが、帰りの飛行機まであと5日ほどあったので、別の街にも顔を出すことにした。次の目的地はスプリットである。

 スプリットはアドリア海に面した港町であるが、特徴的なのはその成り立ちである。この町はディオクレティアヌス帝の宮殿がそのまま街並みになっているという。
 ディオクレティアヌスと言えば、世界史履修者にはお馴染みの名前である。何をした人かは全く覚えていないが、とりあえず宮殿を建てたことは確かだ。その宮殿がそのまま街並みになるという意味がよくわからないので、見に行くことにした。
 ドゥブロヴニクを朝の7時に出発し、スプリットに着いたのは13時だった。このスプリットに至って、客引きの数はドゥブロヴニクの“1”を下回る“0”を記録した。繰り返すが、これから冬にクロアチアを訪れる人は、決して“但し冬は除く”の原則を忘れてはならない。
 地図を見ながらバスターミナルから宮殿のある方向へ歩くと、ほどなくしてそれっぽい石造りの城壁が見える。そして城壁の手前には多くの屋台が連なる市場がある。それを見てなるほどあの宮殿を中心として街が広がっているのかと早合点したのだが、そうではなかった。スプリットの街は正に宮殿の中にあったのである。
 とりあえず宮殿の中を見てみようと城壁の門をくぐると、しばらく薄暗い地下道が続き、左右に土産物屋が並んでいる。いかにも観光地らしい光景を見ながら、地下道を通り抜けて再び地上に出ると、そこにまた街があるのだ。
 “宮殿がそのまま街並みになっている”と聞いて、僕は江戸城とその城下町のような関係を思い浮かべていたのだが、そうではなく、街は江戸城のお堀の内側に作られていたのだった。この光景を見てシロアリを思い浮かべたことは日本とクロアチアの友好のために黙っておこうと思う。

 街並みはあとでじっくり見るとして、僕は人の宮殿よりも自分の宿の心配をしなければならない。僕を宿へといざなってくれる白馬に乗った客引きは現れなかったのだから。
 とりあえずインフォメーションで宿を斡旋してもらおうと、地図を片手に街中をうろつくが、なかなか発見できない。僕は方向音痴なので、こういう場合見つけるのに時間がかかるのだ。本の向きを変えたり、自分の向きを変えながら探すのだが、なかなか見つからない。このとき、街中で幾つかの箇所で工事をしていて、よりわかりにくくなっていた。
 僕は恨めしげに内装工事中ですっからかんになった建物を見遣ると、建物のガラスに“imformation”の文字があるのを発見した。そう、工事中である当のその建物こそ、僕が探しているインフォメーションだったのである。冬だから開いていないというレベルを超えた豪快な閉まりっぷりである。ちなみに、大聖堂も工事中で開いていなかったことを付記してこう。
 僕は『歩き方』に載っていた“Split Hostel”に宿を取り、街歩きを開始した。

 街歩きの前に腹ごしらえをしなければならないので、Split HostelのMaryがお勧めしてくれたレストラン“fife”へ。『歩き方』にも載っているし、英語メニューもあるのだが、店内は常連とおぼしきオヤジが多くいる、地元色の強いレストランであった。ここでレモネードを片手に主食のシーフードリゾットを補給し、街歩きに備えた。


 店を出るとまずは宮殿の地下へ。入場料を払おうと100Kn札を受付の兄ちゃんにわたすのだが、釣りがないという。僕の方もあいにく細かいお金はfifeで使ってしまい、小銭は10Knしかない(入場料は20Kn)。僕の旅行経験上ここは間違いなく受付の野郎が「釣りはいらないだろ?」などとぬかして全額もらおうとするパターンであったのだが、ここクロアチアではそうではなかった。彼はしばらく思案した後、
「よし、お前は学生だ。」
 と言って、10Knを受け取り僕を通してくれた。この街の好感度が10Kn相当以上に上がったことは言うまでもない。
 地下宮殿の様子だが、特に圧倒されるような何かがあるわけではない。石造りの静謐な空間は心地よいものであるが、この空間を楽しめるか否かは見る人の想像力にかかっているだろう。数百年前にこの堅固な石造りの宮殿が造られる過程を、或いはこの場所をディオクレティアヌス帝はじめローマ人が闊歩した事実を、想像することができて、自分が今その場所にいることに思いを馳せるような感受性を有している人ならば存分に楽しめると思う。そうでない人にとっては、新宿の飲食店ビルに入っている石造り風の小洒落たレストランにいる方が快適に思えるだろう。


 宮殿の地下に潜ったあとは、是非とも大聖堂の鐘楼に登りたいところであるのだが、工事で閉まっている。このままでは昇降のバランスが取れないので、山に登ることにした。街の西に“マルヤン森林公園”という丸山君のあだ名にも似た小高い丘があるので、そこから街を見下ろすことができる。歩いて10分~15分ほどである。

マルヤンの展望台からの眺め。木が邪魔。

 この丘の中腹にある展望台からさらに上に行くと動物園があるらしく、動物園好きの僕としては是非とも行きたいと思ったのだが、“海外で動物園シリーズ”は南アフリカに行ったときに実行した“アフリカに行ったのに動物園で野生じゃない動物を見る”という行為である種の達成感を得てしまったので、今回は行かずに終わってしまった。

2009/02/28

クロアチア旅行記|二日目。ドゥブロヴニク。城壁バリアフリー。

2009年2月14日深夜~15日
 22時30分にザグレブを発車したバスは、10時間後の到着を目指して夜闇に沈んだクロアチアを縦断していく。僕は右側の席を陣取り、バスの揺れと浅い眠りに身を委ねていた。客の乗降で目を覚ますごとに、暗闇の中でも車窓の風景は少しずつ変化しているのがわかった。
 やがてバスが海沿いの道に出る。海はもちろん黒く塗りつぶされていたけれど、ひとたび街灯が光の粒を垂らすとどこまでも透き通った。僕は夢うつつでそんな光景を眺めていた。
 ふと目を覚ますと、いつの間にか空が明るくなり始めていた。僕はポケットから『地球の歩き方』を取り出して、ドゥブロヴニクのページを読むともなく眺めた。ドゥブロブニクに入るにあたって、僕には不安な要素があった。それはドゥブロブニクの宿についてである。
 クロアチアには、宿泊施設として“SOBE(ソベ)”或いは“プライベートルーム”というものがある。これは一般家庭が空き室を宿泊場所として提供するもので、政府により認可された制度である。一般的なホテルに泊まる気のさらさらない僕にとって、このSOBEが宿泊の第一候補となる。
 だが、このSOBEについての情報があまりに少ない。まず、『歩き方』に場所が載っていない(これは一般家庭であるという事情があるのかも知れない)。また場所も乗っていないので当然値段も載っていない。
料金は、訪れる町や季節、バスやトイレがプライベートか共同かなどで大きく異なっている。
A34 地球の歩き方 クロアチア/スロヴェニア 2008~2009 (地球の歩き方)
そして一番不安なのが、以下の情報である。
アドリア海沿岸部のドブロヴニク、スプリットといった有名な観光地に到着すると、プライベートルームの客引きが待ち受けている。旅行者がバスやフェリーから降り始めると、初老の女性らがいっせいに寄ってきて、「ソベ」「プライベートルーム」と声をかけてくる。
(同上)
実は、僕は客引きという人種が凄い怖い。2004年に初海外旅行でインドに一人旅をした際に、客引きにだまされてぼったくられた甘酸っぱい想い出があり、それ以来のトラウマなのだ。因みにそのときに学んだ、胡散臭い客引きの特徴を以下に列挙するので、皆さんも気をつけて欲しいと思う。
・やたら車に乗せたがる
・車に乗ると別に運転手がいる
・必要以上にフレンドリー
・日本人の写真やメッセージを見せてくる
さて、今回はやってくるのが“初老の女性”ということなので、腕力では引き分けぐらいには持ち込めそうだが、初老の女性に囲まれる光景を想像するとまた別の恐ろしさがある。氷川きよしの偉大さを思わざるを得ない。

 途中、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの国境をまたぐためパスポートチェックを受け、バスがドゥブロヴニクに着いたのは、2月15日の朝8時だった。ザグレブから約9時間半の道のりである。
 バスを降りる前に僕はもう一度気持ちを引き締めた。客引きはとりあえず無視して、バスターミナルでこの街から出るバスの本数を概ね把握し、一息ついてから客引きの話を聞く。その時に必要なのは、『歩き方』のアドバイスにある通り。
交渉するときは地図を示して場所と料金を確認し、まずは部屋の様子を見たいと伝えよう。
(同上)
荷物が肩にかかる感触を確かめてバスを降りると、吹き付ける朝の冷たい風に思わず身を硬くした。だがその冷たさも、あっという間に僕の周りを取り囲んだ客引きたちの熱気により吹き飛ばされてしまった……はずだったのだが、事実は異なっていた。初老の女性云々ではなく老若男女どの取り合わせにしても人がいない。バスにいたまばらな乗客が行ってしまうと、僕は一人そこに取り残されてしまった。
 僕は客引きに囲まれなかったことに安堵するよりも、なんだか恥ずかしさを感じてしまった。「バスターミナルで客引きに囲まれる自分」を想像していたことが、「原宿に行けばスカウトされる」的な勘違いだった。僕はまだこのとき、「但し冬は除く」の原則を理解していなかったのだった。

 朝の冷え込みとあいまって、こうまでニーズのない自分自身に僕は寂しさすら感じていた。そうしてしばし途方に暮れていて、一人の女性が近づいてくるのにも気付かなかった。その女性は40歳くらいの赤髪で、手に一枚のプレートを持っていた。そこにはこう書いてあった。
SOBE
ACCOMMODATION
OLD CITY
僕は待望の客引きに出会えたことが嬉しくて、明らかに書いてある「Accommodation?」という無駄な質問をした。そしてその問いに彼女が頷くと、バスの時刻表を見ることも忘れて彼女の後について行った。
 彼女が導く先には一台の車があり、そこに乗り込むと運転席に一人の男性がいた。
 「Hi! I`m Mr.Ivo. Hello my friend!」
 やたらとフレンドリーなその男は僕の手を強く握り締めた。
 車は走り出した。行き先を僕は知らない。

 Mr.イヴォの運転する車はドゥブロヴニク市内を恐らく順調に走っていく。行く先を知らないので何とも言えないが。そして僕は今更ながらに宿の場所や値段を尋ねている。
「旧市街から近い?」
「Yes!スゲェ近いよ、マイフレンド!」 
「一泊いくら?」
「それは何泊するかによるね。ドゥブロヴニクにはどのくらいいるんだい?」
「二、三日くらいかな。まだ決めてないけど。」
「Uh..Good!」
 値段についての会話がなぜか、"Good!"で完結した。
 その他“イギリスのガイドブックに載っている”、“日本人も沢山泊まった”、“明石海峡大橋は大地震でも壊れなかった。マジ凄いよ”等々の不要な情報を与えられているうちに車は停車。止まった場所は旧市街沿いの車道。確かに近い。
 駐車場沿いの道を入って二階に上がると、政府公認の証、青地に白文字で"SOBE"とある、イヴォ氏ご自宅へ到着。キッチンでコーヒーをご馳走になりながら、ようやく値段交渉。
 二泊する旨を伝えると、
「OK.二泊で70ユーロだ、マイフレンド。すげぇ安いよ!夏は一泊で50ユーロだからね。」
 一泊35ユーロ。約4,000円位というこの値段が高いのか安いのはさっぱりわからない。しばし考えたあげく、そもそもユーロを持っていないことに気が付いたので、
「クーナではいくら?」
「えぇと、1ユーロは7.5クーナだから……」
 紙とペンを取り出して計算を始めるイヴォ氏。こちらはただでさえ相場がわからない上に7.5という係数の妥当性もわからずに置いてきぼり状態。
「…525クーナだ。OK.ディスカウントで500クーナだ。」
 よくわからないうちに値引きしてもらい、結果一泊250クーナになったが、結局妥当な値段なのかは不明なままである。
 ここでの正しい対応は、一旦保留し、他の宿を見て回って相場を把握することだろう。それはわかっている。だが、旧市街近くまで載せてもらった上に、コーヒーまでご馳走になっている引け目がある。更に悪いことに、このコーヒーがやたら美味い。できればもう一杯ご馳走になりたいところだ。
 しばし逡巡した後、もう相場のことなど考えるのを止めた。純粋に自分の価値観としてこの金額が納得できるかどうかを考えることにし、僕は宿泊を決めた。そして、コーヒーのお代わりをした。

 最初に着いてしまったので感慨は浅めだが、ドゥブロヴニクは僕のクロアチア旅行における目的地である。世界遺産でもある美しい街並みを見てみたいと思い、極東から遠路はるばるやってきた次第だ。
 では、世界には他にも美しい街が数多くあるにもかかわらず、なぜクロアチアのドゥブロヴニクなのか。どうしてパリやミラノやウィーンではいけなかったのか。
 その理由は僕の年齢にある。パリやミラノは歳をとってからツアーでいつでも行くことができる。だが、クロアチアはそうではない。ツアーで訪れることのできないような国を、若いうちにできるだけ多く見て回りたいから、僕は今この地を訪れているのだ。

 そんな思いを抱きながら、僕はこのドゥブロヴニクで、日本人ツアー客に頼まれて写真を撮っている。
「はい、いいですかー。はい、チーズ! 一応もう一枚撮りますねー。行きまーす。はい、チーズ!」
「ありがとう。お兄ちゃん、一人で来たの? 大変ねぇ。」

 僕は苦笑いを浮かべ、カメラを渡す。団体のツアー客に踏まれて粉々になった僕の夢想を見つめながら、今やツアーで行けない場所なんて殆ど存在しないことを知る。と言うよりも、年齢で旅行先を限定するなんてナンセンスだ。幾つになっても人生を楽しむべきだと僕は思う。

 それはさて置き、僕は団体ツアー客以外は人もまばらなドゥブロヴニクの街を歩き始めた。ドゥブロヴニクは、アドリア海に飛び出た「出島」(元大関ではない方)のような形をしており、周囲を城壁で囲まれている。外部に開かれているのは、三つの門と一つの港のみである。
 この門について、『歩き方』にロマンチックな写真が載っている。キャプションを紹介すると、
伝統的なコスチュームを身にまとい、ドブロブニクの門を守る衛兵
写真には、伝統衣装をまとい、槍のような武器を手に持った衛兵の姿が映っている。勘の良い人ならお分かりかと思うが、ここでも「但し冬は除く」の原則が適用される。そこに衛兵はいません。守ってなんかいません。
三つある門の一つ、“ピレ門”※手前にいるのは衛兵ではありません。

 衛兵の有無はさて置き、ドゥブロヴニクを歩き始めるにあたっておすすめなのが、まずは城壁の遊歩道を歩くことだ。この町をぐるりと囲む城壁の上は遊歩道になっており、この上から、壁の内側に広がるオレンジ色の美しい屋根と、外側に広がる透明のアドリア海を望むことができる。




 ただし、この城壁に上るためには、心臓破りの階段を登る必要がある。

 当然エレベーター等もない。バリアフリーとはほど遠い状況に、「配慮がなっていない」とお怒りになる方もいらっしゃるかも知れない。だが、そこは斟酌する必要があるだろう。なぜなら、バリアフリーにした時点でそれはもう城壁ではないのだから。

 城壁の上から見るドゥブロヴニクの街は、オレンジ色の屋根が印象的だが、実際に街中を歩いてみると、その街並みはセピア色をしている。正直セピア色は言い過ぎだが、色味を抑えられたレンガの色と、中世の面影を残す建物の造りがそう思わせる。中世のことは良く知らないけれど。


 メインストリートであるプラツァ通りと幾つかの広場を除いて、建物の間隔は狭く、幾つもの小路が街中を縦横に走っている。無類の小路好きである僕としては、片っ端から入らざるを得ない。
 小路に入ると、この街が人々の生活の場であることを実感する。それにしても洗濯物すら絵になるのはうらやましい限りである。
IMG_0018



フランスワールドカップの再戦を

城壁に囲まれたこの街において、三つの門と一つの港のみが外に開かれていることはどこかに書いたが、その港には多くのボートが停泊している。
吸い込まれそうな海。吸い込まれるわけにはいかないが。

 当初、これらのボートは全てどこぞの金持ちが所有しているリゾート用かと思っていたが、そうではないらしい。あるときに港を通ると、丁度一隻のボートが港を出発し、魚を取りに行く所であった。ただ、その漁の仕方は非常にざっくりしたもので、港から数十メートル出たところで、網を垂らしてそこらへんをしばらく走っているだけであった。ひょっとしたら網を洗っているだけなのかもしれない。

 ともかく、港の近くであれば、魚介類が旨いのは道理である。と言うよりも、ドゥブロヴニクに限らず、クロアチアは魚介類が非常に旨い。これは内陸部のザグレブでも同様であった。僕がクロアチア滞在中主食にしていたのは、昼はシーフードリゾット、夜はイカ墨のリゾットであった。
 特にイカ墨のリゾットが旨い。イカの柔らかさが尋常ではなく、生前はさぞ体の柔らかいイカであったであろうことが推察された。
昼の主食。

夜の主食。

2009/02/24

1分12秒でわかるクロアチア旅行



クロアチア旅行記|初日。ザグレブ。アドリア海サンクコスト。

2009年2月14日(土)

僕は搭乗時に決して荷物を預けないので、他のどの乗客よりも早く到着ロビーに姿を現すことになる。そしてロビーで待ち受ける人々は自動ドアが開くと同時に、一斉にこちらを見やり、そして眼で語りかける。
 「……誰?」
 彼らの気持ちはよく分かる。家族や恋人の到着を今や遅しと待っている中でようやく開いた自動ドア。そこに現れたのは待望の家族でも最愛の恋人でもなく、軽装のアジア人。
 そんな視線を浴びて、僕は自分が異国の地に来たことを実感する。

 21:00、パリのシャルル・ド・ゴール空港を経由して、クロアチアのザグレブ国際空港に降り立った僕が必要としていたのは、暖かな歓迎よりも、冷たいATMだった。
 差し当たり僕は現地通貨Kn(クーナ)を持っていない。更にユーロもドルも持っていない。事前に空港の両替所が21時で閉まるという情報を得ていた僕は、現地通貨の供給をATMに一任していたのだった。万一ATMが使えなから、エアギターで稼ぐしかないと覚悟を決めて僕はこの地にやって来た。
 だから、到着ロビーにある両替所が開いていたときには我が目を疑った。情報が間違っていたのか、国際線の到着があったから延長したのかわからないが、確かに開いている。
 こんなことならエアギターなんかじゃなくて、ドルなりユーロなりを持って来るのだった。持ってきたエアギターがひどく重く感じられる。
 僕は窓口で談笑する職員を横目に、ATMで現地通貨クーナ(Kn)を引き出した。
 紙幣の人物は到着ロビーの人々と同じ目で僕を眺めていた。

 満員の空港バスに乗ってたどり着いたザグレブの長距離バスターミナルは、本当に24時間営業だった。
 事前情報で「Opening hours: 24 hours a day - 7 days a week」とあったものの、どうせドアが開いているだけだろうと高をくくっていたが、きちんと窓口も開いている。"Dubrovnik"の発音に苦戦しながらも、適当に「ドゥ」だの「ヴ」だの言っていたら、ドゥブロヴニク行きのバスチケットが手に入った。

 ただ、事前情報と異なり、クレジットカードを使うことはできなかった。窓口のおばちゃんに、「Do you accept Credit Card?」と聞いたのだが、「No.」と言われてしまった。この"accept"しない"you"がチケットオフィスを指しているのか、おばちゃん個人を指しているのかは不明である。
 それにしても21時に空港に着き、21時20分に空港バスが発車。そして21時50分にバスターミナルで手にいれたチケットは22時30分発。なんという美しい流れ。
 これで明日の朝にはドゥブロヴニクに着いている。自身の完璧な計画に酔いしれた僕は、「パリから直接ドゥブロヴニクに飛んだらもうとっくに着いているはずだ」という事実を、サンクコストとしてアドリア海に放り込んだ。

 『地球の歩き方』によると、ドゥブロヴニクに向かうバスは右側がおすすめらしい。アドリア海沿いに走るバスからの眺めは必見であるという。
 僕は右側の席をリクエストしなかったことを後悔したが、乗車してすぐにその必要はなかったことを知った。空港からのバスとは対照的に、ドゥブロヴニクに向かうバスの乗客は閑散としていたからだ。これが今後何度となく出会うことになる、「但し冬は除く」とのファーストコンタクトであった。
 『地球の歩き方』にある情報の多くは、夏に旅行することを前提にしている。確かにクロアチアがビーチリゾートの国であることは一週間旅行して感じられたので、そのこと自体は非難されるものではない。(記載のある冬期の営業時間が全くいい加減なのはどうかと思うが)。読者としては『歩き方』の行間に、良くも悪くも「但し冬は除く」という文言を叩き込む必要がある。

 僕は苦もなく右側を確保し、胸を高鳴らせてバスの発車を待っていた。そもそも夜だから景色など一切見えないと気付くのはもう少し後のことである。


2009/02/14

出発

アメリカで飛行機が墜落したというニュースに背中を押されつつ、クロアチアへ向けて出発します。
またお会いしましょう。
IMG_0260

2009/02/10

クロアチア旅行 準備編

 昨年末にクロアチア行きの航空券と『地球の歩き方 クロアチア/スロベニア』を買ったあと、無為に過ごしてふと気付いたら2月14日(土)の出発まであと4日になっていました。時が経つのは早いものです。
 土曜の午前中に成田を発つため、必要なものを買い揃えるには祝日の11日(水)を利用するしかありません。ここらで一旦旅行の準備を洗い出してみようと思います。

▼宿を取る
 海外を旅行する際はいつも最初の一泊のみ予約します。と言うのも、海外旅行の最大の難関は空港から最初の宿までに待ち受けている場合が非常に多いからです。
 こっちは長旅で疲労が蓄積しているのに対し、空港で待ち受けるニセ警官やボッタクリタクシー運転手のモチベーションは最高潮です。「まさに、この大アウェーの中」「さぁ、ここは守りたいニッポン!」状態なので、できるだけ最初の宿は確保しておき、経済的に余裕があるのなら、送迎サービスを利用するのがベターでしょう。宿の予約はHOSTELWORLD.comが便利です。
 などと言っておきながら、今回は宿を取らずに行こうと思います。理由は後ほど。

▼両替可能か確認する
 『地球の歩き方』を読むと、以下のような記載があります。
■空港の両替
●ザグレブ銀行
7:00~21:00
 続いて自分のフライト情報を確認すると、以下のような記載があります。
Arrive: Zagreb (ZAG),
21:00 CET
 確実に間に合いません。以前ニューヨークに行った際に、小銭がなくて電話がかけられなかったことがありましたが、今回は小銭どころか現地通貨が一切ありません。
 しかし、幸いなことに僕は何かと大変な新生銀行のキャッシュカードを持っていますので、「VISA PLUS」のATMさえあれば現地通貨を引き出すことができます。
参照:海外のCD・ATMでお客さまのPowerFlex口座円普通預金から現地通貨をお引き出しできる インターナショナル キャッシュサービス のご案内。
 というわけで、問題は「PLUS」のATMがザグレブの空港にあるかという点と、それが21:00以降も利用できるかという二点です。
 「PLUS」ATMの設置箇所は、以下のサイトで調べることができます。
ATM Locator | Visa ATMs | Find Bank Cash Machines
 ここで、Croatia,Zagrebで検索すると、
10.HYPO ALPE-ADRIA-BANK D.D. open 24 Hours
B.B., PLESO
ZAGREB, 10 000
Location:AIRPORT
 とありますので、特に事前に両替することもなくふらりと行けそうです。

▼長距離バスの時刻を確認する
 『地球の歩き方』曰く、クロアチア国内の移動には、鉄道よりもバスのほうが便利だそうです。個人的には鉄道で移動したほうが風情があるとは思いますが、さしてこだわりもないので、バスで移動しようと思います。
 クロアチアの長距離バス情報は以下のサイトで見ることが出来ます。
WWW.AKZ.HR - Naslovnica
 これを見ると、意外とザグレブ発の深夜バスがあることに気付きます。
 ザグレブ→ドゥブロヴニクの最終は23:55分発ですし、ザグレブ→スプリットも23:59があります。ということは、わざわざザグレブで一泊するまでもなく、そのままスプリットなりドゥブロヴニクなりに行ってしまうのが良いのではないのでしょうか。
 ここで問題になるのが、夜にバスステーションの窓口が開いているのかという点です。
 そこで、「zagreb bus」あたりでググってみると、以下のやや胡散臭いサイトが出てきます。
Zagreb Bus Station, Zagreb, Croatia
 そこには、
Hours
The bus station is open 24 hours a day, 7 days a week.
 という半ば信じられない情報が。
 確かに前述のWWW.AKZ.HR - Naslovnicaにも
≫ Opening hours: 24 hours a day - 7 days a week
 とは書いてありました。どうせコールセンターの自動音声の話だろうとなめてかかっていたのですが、間違えでした。
 その他にも、
Buying your Bus Ticket
The bus station has a series of counters; international tickets are sold at windows 11 and 12. You can pay by cash or credit card and you can reserve as far in advance as you like or at the last possible minute but you cannot reserve online.
Currency Exchange
There's an ATM in the bus station as well as a currency exchange office.
 と、ザグレブのバスステーションは相当やるようですので、それを信じて特に準備をせずに行ってみたいと思います。

▼電圧とプラグを確認する
 クロアチア 旅行情報 電圧とプラグ・ビデオ・水・郵便・電話|地球の歩き方あたりで、電圧とプラグを確認します。
電圧は220ボルト(V)で周波数は50ヘルツ(Hz)、プラグはC型。日本の電化製品を使う場合、変圧器とプラグアダプターを持参のこと。
 因みに日本は100ボルトで周波数は50or60ヘルツです。
 ここで日本の二倍以上の電圧に慌てふためいて変圧器とプラグアダプターを買ってしまうと、変圧器業界の思う壺です。変圧器を買いに走る前に、自分が充電しようとしている電化製品と見つめ合ってください。その家電製品は本当に日本専用ですか?
 例えばデジタルカメラ。僕の使っている「CANON IXY DIGITAL 910IS」の充電器を見ると、以下の様になっています。
IMG_0259
INPUT 100V-240V AC 50/60Hz
 というわけで、このデジカメをクロアチアで充電するためには、プラグアダプターだけ買えばOKです。因みにプラグアダプターは数百円から買えますが、変圧器は数千円から一万円を超えてきます。本当に必要なのかを確かめてから買いたいですね。
 ところで僕はチェコに行ったときにC型プラグのアダプタを買っているので、今回は何も買わずに行けそうです。

 と、いうわけで今回調べてわかったことは、特に準備の必要は無いということでした。隣町の図書館に行くくらいのテンションでゆっくり行ってこようと思います。

---
草: 3 points for reducing your baggage when you travel abroad
check*pad-【海外旅行】行き先が決まってから調べること
check*pad-【海外旅行】持って行くもの
A34 地球の歩き方 クロアチア/スロヴェニア 2008~2009 (地球の歩き方)