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2018/06/03

樋口直哉『おいしいものには理由がある』で紹介されていた生産者のまとめ

noteの連載を読んで興味を持った樋口直哉さんの『おいしいものには理由がある』で紹介されていた、生産者のまとめです。
  • <卵>茨城県 魚住農園
農園から届くダンボールを開けると、閉じ込められた土の匂いが溢れる。野菜はどれも力強い味わいがして、料理が上手くなったと錯覚してしまうほどだ。 p.9-10
一番、大きな違いは材料です。大豆は国産であることはもちろん地元から北海道まで、様々な産地の農家の方と契約して、いいものを使っています。うちの納豆のもう一つの特徴は包装容器に経木を使っていることです。 p.38 
自分の代で大きく変えたのは、それまでつくっていたアミノ酸液が入った醤油をやめたことです。材料も脱脂加工大豆から丸大豆へと変えました。(略)すべて昔ながらの天然醸造一本に切り替えてしまったんです。 p.76
「(略)木桶でつくったほうが醤油はおいしいんです。これには科学的な根拠なんてありませんよ(略)醤油の旨味成分は全窒素量で測ることができますが、タンクと木桶で比較してもその差はないです。ただ味を比べると明らかに違う」 p.96
現在、鰹節製造業者はカビ付けの回数が三回〜四回というところが多いが、伊豆田子節のカネサ鰹節商店は六回から七回、カビ付けをほどこす。 p.109
鰹節の味は燃え盛る火と煙がつくりだすのだ。焙乾に使う薪を見せてもらうと、立派な木材だった。
「いい木を使っていますね」
「国産のナラです。これにはコストがかかっています。人件費の次に高いくらいです」 p.116
「蔵囲は質のいいものしか熟成に耐えませんし、なかにはロスも出ます。商売だけを考えたらあまりよい方法ではないのかもしれませんが、本当に質のいい昆布を提供したいと思ったら必要でした」 p.126
剥いた牡蠣を口に入れる。噛むと清冽な旨味が広がり、苦味は少なく、じんわりと甘い。 p.136
「自分が目指したのは極限まで薄くて、キメが細かく、口に入れたときにさっと溶けてしまう海苔。そうしてこそはじめてグルタミン酸などの旨味が口に入れた瞬間にさっと感じられ、すぐに呑み込みたくなる。 p.148
「今は蒸気釜を使っているところが多いけど、うちは直火炊きの釜を使っている。焦げるから大変だけど、やっぱりおいしいんだよね」 p.156
瓶に遠忠食品の佃煮と近所で買ってきた大量生産品のものを同じ量(今回は十グラム)ずつ入れ、お湯を注ぐ。撹拌してしばらく置くと、違いは一目瞭然だ。大量生産品に対して、遠忠食品の佃煮は沈殿物が多い。つまりそれだけ海苔が使われている、というわけだ。 p.159 
『いわて山形村短角牛』は赤身のおいしさに定評があり、プロの料理人からの人気も高い。
柿木畜産を訪れるといったら周りの人から羨ましがられた。 p.164
飼育日数は百二十日以上、時には百八十日になる。ブロイラーは五十日、地鶏の規格として定められている期間でも八十日以上だから、それよりもかなり長い。(略)
飼育日数の差は味に大きな差を生む。飼育日数が長いほど、旨味は濃くなり、逆に身は硬くなっていく。 p.179
「乳白色って言葉があるけど、今の牛乳はみんなただの白です。夏の青い草を食べると色素のカロテンが牛乳にうつるから黄色っぽくなる。これが乳白色です。比べてみればすぐわかります」 p.186
ピューレや粉末を使ってコストダウンをはかっているところもありますが、うちでは創業当時から生の野菜からソースを仕込んでいます。 p.200
「マヨネーズには甘みを加えないと味がまとまらない。かといって砂糖は使いたくないので、事前の甘味ということでハチミツを入れたところ、リンゴ酢との相性が良かった。油は無添加サラダ油として、これが一番良い……という具合に使う材料は自然に決まっていきました。 p.218
ある時、高崎にあったスーパーを訪れた南都は売り場で三百六十円もする豆腐を見つけた。
「こんな高い豆腐って売れないでしょう」
南都がバイヤーに訊ねると「いや、これがうちで一番売れている豆腐ですよ」と教えてくれた。それが、もぎ豆腐店の『三之助とうふ』だった。 p.47
「なに言っているんだ。豆腐の角に頭をぶつけて死んじまえっていう言葉があるが、うちの豆腐は角が立っているので死ねる。それぐらいの気持ちで作っているんだ。安い豆腐なら角が欠けていても許される。でも、値段を取るなら駄目だ」 p.53 
「うちの油は胃にもたれないという声も聞きます。お客様のなかに胃の手術をされた方がいました。その方は油物を身体が受けつけなくなっていたのですが、『お宅のなら食べられる。天ぷらでも違和感がないので助かりました』というお声をいただきました。 p.222

 手軽に試すことができて、保存状態もそこまで気を使う必要がなさそうな、下仁田納豆あたりから試してみようかと思います。