自分の現在地周辺で飲食店を探すときには、Googleマップを使うことが多い。パッと見は何もないようにみえる場所でも、縮尺を大きくしてみるとポッと飲食店を示すマークが表示されて、ちょっとした宝探しのような気分だ。(飲食店を探す専用の機能もあるのだけれど、少し使い勝手が悪い。)
品川・天王洲周辺で地図をグリグリしていると、気になる場所を発見した。
「いのパン店」と「紅茶専科プチテ」という店が向かい合っている。それぞれのGoogleマップ上のレビューを見てみると、前者が4.2(13レビュー)そして後者は何と満点の5.0(5レビュー)である。
これは行くしかあるまい。
山手通りから、アントニオ猪木でも行くか迷いそうなほど何も無い道を進んで、まずは「いのパン店」へ。
買って帰るつもりだったけれど、イートインができるスペースがあったので、食べていくことにした。買ったのは、クロワッサン、オリーブのパンそして名前を忘れたけれどクルミとチーズと胡椒が入った円柱形のパンの3つだ。
食べてみると、これが驚くほどおいしい。クロワッサンは一般的なものよりもがっしりしていて、耐震性も高そうで、噛むと味わい深い。オリーブのパンは、実がゴロゴロと入っていて、しっかり酸味が効いていて、ワインに合いそう。円柱形のパンもブロックのチーズがたくさん入っていて、クルミと胡椒の香りがとても良い。こちらもワインでいけそう。(基本的にお酒は飲まないので、想像です。)
これはお腹を空かせて待っている家族にも食べさせたいと思い、自分が食べたものと全く同じパンに加えて、エピ(奥さんの好物)を買って帰った。
次いで向かいにある「プチテ」へ。
中に入ると、蝶ネクタイを締めた白髪の素敵なおじさまがカウンター席に案内をしてくれる。ソファに腰掛けて、アッサムとデニッシュを注文する。
改めて店内を見てみると、席間がとても広く取られている。僕がオーナーなら、4席放り込みそうなスペースも半分の2席で、こういった所にオーナーの姿勢がうかがえる。
やがてカラカラと音がして、おじさま改めマスターがティーワゴンに乗せて、紅茶をだしてくれた。
ポットを置く台の下には遠火でキャンドルがあてがわれて、最後まで冷めないよう配慮されている。ぬかりなし。
さっそく紅茶をいただく。まずはストレートで。後味にえぐみが一切なくて、すっきりとおいしい。
僕は学生時代にイギリスのオックスフォードに留学して一年間毎日浴びるように紅茶を飲んだというような経験が一切ないので、紅茶のことはよくわからないけれど、きっと本場にも劣らない味なのだろう。
他にお客さんもいなかったので、マスターに話しかけてみる。
「素敵な内装ですね。」
「内装が素敵でも、お客さんが来ないとねぇ(笑」
確かに、通りがかりにふらりと立ち寄るような立地ではない。一方で、紅茶好きの人が遠方からくるケースもあるそうだ。
マスター曰く、外で紅茶を飲むための環境は悪循環にあるそうだ。銀座や表参道などに行けば、きちんとした紅茶を出す店はあるけれど、普通の街中にはない。紅茶は入れると手間がかかるので、ティーバッグで美味しくない紅茶が出される。それでまた外で紅茶を飲む人が減る。飲む人が少ないので、お店は手間をかけて紅茶を入れることはしない。
恵まれているとは言い難い場所に店を構えたのも、そういった状況を変えたいというマスターの挑戦なのかもしれない。
店を出て、紅茶の味とマスターの話を反芻しながら、頭のなかに何か引っかかりを感じていた。蝶ネクタイを締めた白髪の紳士が、ティーワゴンでお茶を入れてくれる姿に感じた既視感。どこで見たのだろう。
そう。ちびまる子ちゃんの「ヒデじい」だ。
誰しも花輪くんになれる店。それがプチテだ。
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「いのパン店」も「プチテ」も営業日数は多くないので、事前に確認してから訪問することをおすすめします。
品川・天王洲周辺で地図をグリグリしていると、気になる場所を発見した。
「いのパン店」と「紅茶専科プチテ」という店が向かい合っている。それぞれのGoogleマップ上のレビューを見てみると、前者が4.2(13レビュー)そして後者は何と満点の5.0(5レビュー)である。
これは行くしかあるまい。
山手通りから、アントニオ猪木でも行くか迷いそうなほど何も無い道を進んで、まずは「いのパン店」へ。
買って帰るつもりだったけれど、イートインができるスペースがあったので、食べていくことにした。買ったのは、クロワッサン、オリーブのパンそして名前を忘れたけれどクルミとチーズと胡椒が入った円柱形のパンの3つだ。
食べてみると、これが驚くほどおいしい。クロワッサンは一般的なものよりもがっしりしていて、耐震性も高そうで、噛むと味わい深い。オリーブのパンは、実がゴロゴロと入っていて、しっかり酸味が効いていて、ワインに合いそう。円柱形のパンもブロックのチーズがたくさん入っていて、クルミと胡椒の香りがとても良い。こちらもワインでいけそう。(基本的にお酒は飲まないので、想像です。)
これはお腹を空かせて待っている家族にも食べさせたいと思い、自分が食べたものと全く同じパンに加えて、エピ(奥さんの好物)を買って帰った。
次いで向かいにある「プチテ」へ。
中に入ると、蝶ネクタイを締めた白髪の素敵なおじさまがカウンター席に案内をしてくれる。ソファに腰掛けて、アッサムとデニッシュを注文する。
改めて店内を見てみると、席間がとても広く取られている。僕がオーナーなら、4席放り込みそうなスペースも半分の2席で、こういった所にオーナーの姿勢がうかがえる。
やがてカラカラと音がして、おじさま改めマスターがティーワゴンに乗せて、紅茶をだしてくれた。
ポットを置く台の下には遠火でキャンドルがあてがわれて、最後まで冷めないよう配慮されている。ぬかりなし。
さっそく紅茶をいただく。まずはストレートで。後味にえぐみが一切なくて、すっきりとおいしい。
僕は学生時代にイギリスのオックスフォードに留学して一年間毎日浴びるように紅茶を飲んだというような経験が一切ないので、紅茶のことはよくわからないけれど、きっと本場にも劣らない味なのだろう。
他にお客さんもいなかったので、マスターに話しかけてみる。
「素敵な内装ですね。」
「内装が素敵でも、お客さんが来ないとねぇ(笑」
確かに、通りがかりにふらりと立ち寄るような立地ではない。一方で、紅茶好きの人が遠方からくるケースもあるそうだ。
マスター曰く、外で紅茶を飲むための環境は悪循環にあるそうだ。銀座や表参道などに行けば、きちんとした紅茶を出す店はあるけれど、普通の街中にはない。紅茶は入れると手間がかかるので、ティーバッグで美味しくない紅茶が出される。それでまた外で紅茶を飲む人が減る。飲む人が少ないので、お店は手間をかけて紅茶を入れることはしない。
恵まれているとは言い難い場所に店を構えたのも、そういった状況を変えたいというマスターの挑戦なのかもしれない。
店を出て、紅茶の味とマスターの話を反芻しながら、頭のなかに何か引っかかりを感じていた。蝶ネクタイを締めた白髪の紳士が、ティーワゴンでお茶を入れてくれる姿に感じた既視感。どこで見たのだろう。
そう。ちびまる子ちゃんの「ヒデじい」だ。
誰しも花輪くんになれる店。それがプチテだ。
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「いのパン店」も「プチテ」も営業日数は多くないので、事前に確認してから訪問することをおすすめします。