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2012/06/17

幾千円のすっぽんに抱かれて浪漫を叫び続けた川崎の夜「和亭 福味」

写真 12-06-16 21 15 19
 「月とすっぽん」という言葉がある。
 夜空に輝く月と泥土を這うすっぽんを対比させた諺である。確かにすっぽんは、月のようにその輝きと満ち欠けで我々の目を楽しませることはないし、1,700万ゼノを超えるブルーツ波を放つこともない。
 でもこういった場合はどうだろう。例えば特別な日に、西麻布の瀟洒なフランス料理店でコース料理を食べているとしよう。前菜とスープを胃に流し込み、メインの料理を迎える準備が整った貴方のもとに、痩せたウェイターが毛足の長い絨毯の上を音もなく歩いてやって来て、こう尋ねる。
 「お客様、本日のメインは、月とすっぽんからお選びいただけますが、どちらになさいますか?」
 つまり、そういうことだ。

 川崎駅徒歩3分。“イタリアのヒルタウンをモチーフにした”LA CITTADELLAに入ってすぐ左の路地を入る。そこに香るのは昭和の日本。張りぼての裏側を見るような思いで少し進んだその先に「和亭 福味」(ぐるなび食べログ)はある。
 カウンターを含め全17席の小さな店内には、ねじり鉢巻の大将と女将さん。すっぽんよりガツガツ食いついてくる女将のトークを肴に、全11品のすっぽんコースが饗される。