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2010/11/29

天城山登山~そこはかとないジブリ感


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 伊豆半島は天城山へと行ってきた。紅葉と富士山を愛でる旅だ。
 まずは登山の安全を祈願すべく、修善寺へ。修善寺の紅葉はまさに見ごろで、写真を撮っているうちに安全祈願などどうでも良くなっていた。それでも無事に帰してくれた神様ないし仏様に感謝したい。
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 修善寺近くの竹林と紅葉の取り合わせも見事なもので、「地上で見ごろだったら山の上は確実に見ごろを過ぎているだろうな」という興ざめな考えも洗い流してくれた。
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 山に登るのは明日なので、今日の夕飯を食べる。『まっぷる』によると、「猪鍋」が名物であるようなので、車を30分ほど走らせて「ささの」へ。
 猪鍋とわさび漬けを注文して、鍋の到来を待っていると、店のおばちゃんが「これ食べて。」とイノシシのレバーを出してくれた。普段は地元の猟師しか食べないそうだが、前日にちょうどイノシシが獲れたとのことで、サービスしてくれた。
 食べてみると、レバーの臭みもあまりなく、ゆず風味のタレがかかっていて、さっぱりとしてとても旨い。思わず写真のピントもぼけてしまうくらいだ。
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 鍋が来るまでの間、レバー以外にもわさびの茎の漬物やわさびの味噌漬けなど、次々とサービスしてくれた。おばちゃんの多大なサービス精神に感謝するとともに、「わさび漬けも頼まなければもらえたんじゃないか」という後悔がつんと心に染みた。
 そしていよいよ猪鍋が登場。たくさんの猪肉とたくさんの野菜(玉ねぎ、にんじん、大根、ごぼう)が入っている。猪肉は熟成したほうが良いらしく、10日ほど前に獲ったイノシシさんの肉だそうだ。しっかりと肉に火を通して、いざ実食。
 猪肉は野性を感じさせる歯ごたえ。けれど臭みはない。じっくり噛んでいると、身から旨味が感じられ、溶けだした脂身の甘味と合流して、旨い。
 あまりにも旨いので、イノシシを養殖すべきではないかという議論が起きたけれど、「それって豚じゃね?」という結論が出て、打ち切りとなった。
 猪鍋とごはん、わさび漬け、ビールとその他もろもろサービスしてもらって、一人2,500円。満足して店を出る。じゃんけんで負けてノンアルコールビールを飲んでいた僕の運転でホテルに帰った。
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 翌朝9時過ぎにホテルを出て、車で一時間ほど走り、天城高原へ。

 登山口で先達の残した杖(木の枝)を手に取って、いざ山へ入る。
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 登山口は、異世界への入り口だ。山の中では、何よりも無事に帰ることが大切になる。失業率も内定率も円周率も山の中では気にならず、普段気にもとめないような、小さく芽吹く緑が気になる不思議世界。
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 それにしても、登山道にあるルートを示す標識や目印、そして木の足場を見るにつけ、他人のために山の中へ物資を背負って登った人のことを思い、頭を下がる。
 そんなお人よしの皆さんのおかげで、二つある頂上のうちの一つ、「万次郎岳」(標高1,320メートル)に、一時間ほどで到着。
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 ここで昼食にする予定であったけれど、風があまりにも強い。タカノリ的にもちょっとどうかと思うであろう暴風であったため、休憩もそこそこにして、第二の頂上「万三郎岳」を目指して歩く。
 その道すがら、アセビのトンネルを抜けるのだけれど、このトンネルがまた別世界。20年前の僕なら、間違いなくトトロのいる場所にたどり着いていたはず。
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 途中、富士山なども望みつつ、また一時間ほどで万三郎岳(標高1,406メートル)に到着。
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 これで二つの頂上を制覇したので、あとはもう帰るだけなのだが、この下山が想定よりも長くて辛かった。もはやこのまま森で 乙事主様と暮らそうかと思ったくらいだ。
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 2時間かけてなんとか下山。帰りに伊豆スカイライン内にある「万天の湯」に立ち寄る。
 ここの風呂は富士山が望める露店になっていて、ものすごくおすすめだ。ただし、山で見るよりも良く見えてしまうので、色々複雑な気持ちにもなる。
 自動販売機のコーヒー牛乳がやたらと旨かった。
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 おしまい。