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2008/04/03

フィリピンパブ☆デビュー

 2日、歯牙ないサラリーマンTが思わぬ形でフィリピン・パブデビュー戦を迎え、苦しみながらも引き分けに持ち込み勝ち点1を獲得した。
 その日Tが会社から帰ろうとすると、東京時代に同僚であった先輩Sも偶然同じタイミングで会社を出ようとしていた。Sは転職組であり、大阪に出張で来ている前職の上司と食事をするというのでTも同席させてもらうこととした。
 上司との会食は焼き鳥屋でつつがなく終わり、シメの蕎麦屋に向かう途中、事件は起きた。蕎麦屋へと続くアーケードの下で、Sの上司が偶然知り合いと遭遇したのであった。一年ぶりで、しかもお互いにたまたま出張で来ていた地での再会ということで二人は大いに盛り上がり、蕎麦の話はそれがまるでそうめんであるかのように流れ、代わりにフィリピン・パブに行くことになったのである。
 たまたま同じタイミングで先輩と帰り、その先輩がたまたま前職の上司と食事の約束をしていて、その上司がたまたま知り合いと再開するという幾つもの偶然が重なってたどり着いたフィリピンの地。それに対して、日本代表Tは明らかに準備不足であった。
 試合は先客が西郷輝彦や山口百恵を歌うアウェー独特の異様な雰囲気の中で始まった。立ち上がり、フィリピン代表は一年半前にガーナから加入した選手を軸に攻撃を組み立て、「アノ子、ガーナから来たのヨ。ガーナ、チョコレート美味しそうでショ。美味しそう、ヤダ、今ヘンなこと考えたでショ!」という謎のフィリピーナジョークでペースを掴むと、日本代表は防戦一方となった。
 サイドから次々とさきいかを口に放り込まれ最終ラインが押し下げられると、その前の開いたスペースに二列目から次々と選手が飛び込んで来る。日本も目の前にあるつまみのチョコレートだけを楽しみに耐え忍んでいたが、フィリピン代表も「子どもガ10歳と8歳なノ。」「6月25日に結婚シタけど別れちゃったカラ、June Brideはダメね。」と予想外にダークトーンのトークで攻撃の手を緩めない。
 最終ラインだけでは対応が難しくなったため、中盤の助けを求めたが、上司の知り合いが腰を振り振りフィリピン代表と踊っており、その姿はTに絶望と小学校中学年の男子を思い起こさせた。
 こうして全く良いところのなかった日本代表であったが、90分を終えてデュエットをやらされることもなく、また上司が払いをしてくれたため最終的に失点することなく、アウェーで貴重な勝ち点1を獲得した。
 次節、ホームでの開催は予定されていない。(共同通信)