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2007/12/03

おじいちゃんのおはなし

いいかい。人生は長いようで短く、短いようでとても長いものなんだよ。

信じられないかもしれないけど、おじいちゃんにも小さいころがあってね。そしてお兄さんのころがあって、おじさんのころがあって、今があるんだよ、
いま小さいころのことを振りかえってみるとーーそう、ちょうど君ぐらいのときかな、あのときの毎日は短くて、でもとんでもなく長かった。
何かに夢中になっているときや、楽しいときは、あっという間に時間が過ぎてしまうんだ。お日さまより早くに起きて出掛けても、かぶと虫を捕まえたり、地面にお城を建てたり、自転車に乗って空を飛んだり、棒きれで敵と戦っているうちに、すぐに晩ごはんの時間になってしまってね。
でもね。そうやってあっという間に過ぎてしまった時間を振り返ってみると、とても長くって中身のある時間だったと思うんだ。

逆に、おじさんのころは一日が長かった。毎朝早くに起きて、同じかっこうをした別のおじさんたちといっしょに電車にのって、自分の机の前まで行く。そしていつも同じ大きさの白い紙が右から来たら左にわたし、左から来たら右にわたすんだ。たまにあやまったりあやまられたりもしながらね。
そうやって過ごした一日はとっても長かったけど、今振り返ってみると、すっからかんであっという間だった。

だからね。君があっという間だと感じる時間は、とても大切でずっと君の中に残るものになるんだよ。そして、君が長いと感じる時間は君の中に何も残さない。
このことを覚えていてくれれば、君の人生は短くて長くてとても大切なものになるはずだよ。


うん。絶対に忘れないわ。
おじいちゃん、とても長いお話をありがとう。