みんなから「でか耳ペーター」「でか耳ペーター」といじめられていました。
ペーターの耳は大きいばかりでなく、よく聞こえたため、
どんな小さな声の悪口もペーターの耳に入ってしまうのでした。
「でか耳ペーター」「でか耳ペーター」
「マギー審司」「マギー審司」
ペーターは悲しくって、悲しくって、ずっと家に一人でいました。
そんなとき、隣のウサギ村がこわいオオカミにおそわれたというウワサが入ってきました。
村人はこの村にもいつオオカミがやってくるのか心配で夜も眠れませんでした。
「ああどうしよう。この村にオオカミがきたらひとたまりもない」
「見張りを立てよう。オオカミがきたらみんなに知らせるんだよ」
「オオカミは足音をけしてやってくるよ。気づかないよ」
「ペーターがいるじゃないか。ペーターならきっと気づくよ。」
「そうだ。彼の耳は大きくて素晴らしいからね。」
村人たちはペーターの大きな耳をたたえるうたを歌い、ペーターに見張りをお願いしました。
「僕の耳がみんなの役に立つなんて、こんなすばらしいことはないよ」
ペーターはよろこんで引き受けました。
その夜、ペーターは村のはずれに立てた見張り小屋にひとりいました。
雪が降り、ときおり強い風がふきつけたけれど、ペーターの気持ちはあったかでした。
「僕の耳がみんなの役に立つなんて、こんなすばらしいことはないよ。
オオカミの足音が聞こえたら、すぐにみんなに知らせてあげるんだ」
「でも、僕はずっと一人で家にいたから、オオカミの足音なんて聞いたことないや」