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2012/11/05

はじめてのマラソン「湯のまち飯坂・茂庭っ湖マラソン」

 おもしろきこともなき世をおもしろく
 すみなすものは新奇なりけり

 退屈しのぎには新しいことを始めるのが一番だ。果たして42.195kmを走ったら自分はどんな感じになるのか、それを確かめるために、フルマラソンに出場してみた。

 今回出場したのは、福島県で行われた「第5回湯のまち飯坂・茂庭っ湖マラソン」。
 当日朝の現地入りも画策したけれど、どうにも無理だったので前泊して大会に臨むことに。
 このため、参加費と交通費、宿泊費で20,000円近い出費が確定。20,000円も払って、誰に頼まれたでもない長距離を走る(しかもスタート地点に戻る)なんて、やりがい溢れるレースです。

 土曜日の朝、9時50分新宿駅新南口(むしろ代々木)バスターミナル発の「あぶくま号」で福島を目指す。
 14時49分福島駅東口到着予定のバスは、約100分のダイナミックな遅れをもって、16時半ごろに福島駅に到着。バスに乗っているだけで土曜日が終わった。
 その後、福島交通飯坂線に乗り、17時過ぎに飯坂温泉駅へ到着。予約していた駅前の「つたや旅館」に着いた頃にはもうすっかり暗くなっていた。


 「パルセいいざか」で前日エントリーを済ませてから「二番軒食堂」という怪しい食堂で夕飯。暖簾の「二番軒食堂」という文字以外は一切ノーヒントで、表にメニューは一切無く、曇りガラスのため中は見えないという、入るのに決意がいる店。

 レース前は炭水化物を沢山取ると良いらしいので、チャーシューメンとおにぎりを食べた。

 腹ごなしに、夜の飯坂温泉を散歩。何とも味のある公衆浴場「鯖湖湯」をはじめ、古めかしい街並みが楽しい。








 つたや旅館で温泉に入ってから、10時には早々に就寝。


 レース当日。
 6時に起きて、また温泉に入ってから、昨晩コンビニで買っておいたバナナと牛乳を食べる。
 7時半になり、宿を出ようとすると、近くのテニス大会に出場する中学生の団体とタイミングが重なる。中学生が次々と部屋の鍵を返却する様子を見て、どさくさに紛れて一緒に鍵を返してみた。
 するとフロントのおばちゃんに「はい、いってらっしゃ~い」と言われたので、そのまま宿代を払わずに出れそうだったけれど、幼少期に培った良心が僅かに残っていたので、宿代5,950円を支払って宿を出た。

 「パルセいいざか」まで歩く間、芭蕉の歩いた道なるものがあったので、寄ってみる。確かに『奥の細道』に飯坂に関する記載があるようなので、読んでみると。


其夜飯塚にとまる。温泉あれば、湯に入て宿をかるに、土坐に筵を敷て、あやしき貧家也。灯もなければ、ゐろりの火かげに寝所をまうけて臥す。夜に入て、雷鳴雨しきりに降て、臥る上よりもり、蚤・蚊にせゝられて眠らず 。持病さへおこりて、消入計になん。

 「明かりもない汚い家に泊まったら天気は悪いわ虫は出るわ持病がうずくわで凹むわ。」と酷評。現代なら慌ててヤラセのクチコミを依頼して塗る潰すレベル。

 「パルセいいざか」からシャトルバスでレース会場へ。
 会場に溢れる野原感。そして吹き荒れる風。天気は快晴で素晴らしいのだけれど、吹き付ける風が強く、そして冷たい。来賓にT.M.Revolutionが来ているに違いないと思ったのだけれど、9時から行われた開会式には見当たらなかった。




 あまりの寒さにアップもままならず、着替え用のテントに篭ってスタートを待つ。念のため手袋を持ってきておいて良かった。

 9時50分にスタート地点へ。

 フルマラソン参加者は740名、それに10kmコースの227名がスタート位置に着く。
 大会の制限時間は6時間なので、とりあえず時間内のゴールが僕の目標となる。5時間台の表示がある位置で待機。

 そして10時になりいよいよスタート。
 初めの1kmは混雑もあり、7分/kmでゆっくりとスタートし、その後10kmまで6分台前半で走る。
 ここではGPSアプリに記録の残っているペースを記載しているけれど、実際に走っているときはペースについては気にせずに、体の真下に着地することを意識していた。重心を体の真ん中に置くことの大切さは、「チャレンジ!ホビー あなたもこれから山ガール」で学んだ極意だ。登山の。

 11kmから13kmにかけて長い上り坂&向かい風でペースを落としつつも、坂を越えてからはまた6分前半で走る。
 トレーニング中も基本的に一人で走っていた自分にとって、たくさんの人と一緒に走る感覚が新鮮で楽しいし、道端にいるおばちゃんからのかつては黄色かったであろう声援も嬉しいものだ。
 そんなこともあり、ほとんど疲れを感じること無くバナナ片手に中間地点を通過。
 「半分過ぎたから終わったようなものだな」と油断していたら、いつの間にかペースが上がっていて、気がついたら26kmからの1kmで最速ペースになっていた。

 そしてそのツケを30km過ぎから払うことに。折からの向かい風と上り坂に、太腿の筋肉が悲鳴を上げる。一歩踏みしめるごとに足が攣りそうになる。マラソンは30kmからが一番きついと聞いていたけれど、正にその通りだった。

 途中歩いている人を見ては、羨ましいと思う一方で、歩いたらもう走れなそうな気がしたので、止まらずに走り続ける。
 給水地点にいる男子高校生ボランティアの野太い声援に支えられ、足をプルプルさせながら、何とか最後まで止まらずにゴール。
 タイムは4時間45分13秒、総合396位。部門別111位だった。


 そしてゾロ目賞として、変なゆるキャラ(のちに福島県のマスコット、キビタンと判明)を与えられた。ありがとう。次の燃えるゴミの日まで大切にします。


 さて、こうして初のフルマラソンは終了。
 かねてからの自己認識であった「人から言われたことは一切やらないけれど、自分で勝手に決めたことはやる」という点が、そんなに間違いではないことが確認できたので良かったと思う。
 一方で目標の完走は達成したけれど、タイムがちょっとかっこ悪い気がするので、もう1回くらい出る。かもしれない。

 レース後のきのこ汁も美味でした。